※この記事は2021年6月以降の記載要領に沿った添付文書情報を対象としています。
医薬品の添付文書は、患者さんの安全を確保し医薬品の適正使用を図るうえで、最も基本的で重要な公的文書です。そこで、医薬品添付文書を有効活用するために、添付文書に記載されている情報について、様々な角度からの解説を行います。
まずは、添付文書のレイアウトと記載事項とその内容についてご紹介します。
添付文書のレイアウト

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添付文書の記載事項とその内容
| 作成又は改訂年月 | 電子添文の作成又は改訂の年月及び版数が記載されます。 |
| 日本標準商品分類番号 | 日本標準商品分類番号が記載されます。 |
| 承認番号、販売開始年月 | 承認番号、販売開始年月が記載されます。 |
| 貯法・有効期間 | 貯法、有効期間が記載されます。 |
| 薬効分類名 | 当該医薬品の薬効又は性質を正しく表すことのできる分類名が記載されます。 |
| 規制区分 | 毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚せい剤、覚せい剤原料、習慣性医薬品、特例承認医薬品、処方箋医薬品及び条件付き承認医薬品の区分が記載されます。 |
| 名称 | (1)日本薬局方外医薬品では、承認を受けた販売名が記載されます。販売名の英字表記がある場合は、併記されます。 なお、法定の基準が定められている医薬品では、基準名が併せて記載されます。またそれ以外の医薬品で、一般的名称がある場合には、その一般的名称が併せて記載されます。 (2)日本薬局方に収められている医薬品では、日本薬局方で定められた名称が記載され、販売名がある場合は併記されます。 |
| 1. 警告 | 致死的又は極めて重篤かつ非可逆的な副作用が発現する場合、又は副作用が発現する結果極めて重大な事故につながる可能性があり、特に注意を喚起する必要がある場合に記載されます。 |
| 2. 禁忌(次の患者には投与しないこと) | (1)患者の症状、原疾患、合併症、既往歴、家族歴、体質、併用薬剤等からみて投与すべきでない患者について記載されます。なお、投与してはならない理由が異なる場合は、項目を分けて記載されます。 (2)原則として過敏症以外は設定理由が[ ]内に記載されます。 |
| 3. 組成・性状 | 3.1 組成 有効成分の名称(一般的名称があるものにあっては、その一般的名称)及びその分量(有効成分が不明なものにあっては、その本質及び製造方法の要旨)が、原則として製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」欄に則り記載されます。 医薬品添加剤については、原則として製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」欄における有効成分以外の成分について、注射剤(体液用剤、人工灌流用剤、粉末注射剤を含む。)の場合、名称及び分量、その他の製剤の場合、名称がそれぞれ記載されます。 細胞培養技術又は組換えDNA技術を応用して製造されるペプチド又はタンパク質を有効成分とする医薬品の場合、産生細胞の名称が記載されます。 3.2 製剤の性状 識別上必要な色、形状(散剤、顆粒剤等の別)、識別コードなどが記載されます。 放出速度を調節した製剤の場合、その機能を製造販売承認書の「剤形分類」に則り記載されます。また、水性注射液では、pH及び浸透圧比を、無菌製剤(注射剤を除く)では、その旨が記載されます。 |
| 4. 効能又は効果 | 承認を受けた効能又は効果が記載されます。 |
| 5. 効能又は効果に関連する注意 | 承認を受けた効能又は効果の範囲における患者選択や治療選択に関する注意事項が記載されます。 |
| 6. 用法及び用量 | 承認を受けた用法及び用量が記載されます。 |
| 7. 用法及び用量に関連する注意 | 承認を受けた用法及び用量の範囲であって、特定の条件下での用法及び用量並びに用法及び用量を調節する上で特に必要な注意事項が記載されます。 |
| 8. 重要な基本的注意 | 重大な副作用又は事故を防止する上で、投与に際して必要な検査の実施、投与期間等に関する重要な注意事項が記載されます。 |
| 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 | 特定の背景を有する患者に関する注意について、効能又は効果等から臨床使用が想定される場合であって、投与に際して他の患者と比べて特に注意が必要である場合や、適正使用に関する情報がある場合に項目を分けて記載されます。また、使用者がリスクを判断できるよう、臨床試験、非臨床試験、製造販売後調査、疫学的調査等で得られている客観的な情報が記載されます。 9.1 合併症・既往歴等のある患者 合併症、既往歴、家族歴、遺伝的素因等からみて、他の患者と比べて特に注意が必要な患者であって、「9.2 腎機能障害患者」から「9.8 高齢者」までに該当しない場合に記載されます。 9.2 腎機能障害患者 薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や、特に注意が必要な場合にその旨が、腎機能障害の程度を考慮して記載されます。また、透析患者及び透析除去に関する情報がある場合には、その内容が記載されます。 9.3 肝機能障害患者 薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や、特に注意が必要な場合にその旨が、肝機能障害の程度を考慮して記載されます。 9.4 生殖能を有する者 1)患者及びそのパートナーにおいて避妊が必要な場合に、避妊が必要な期間とともに記載されます。 2)投与前又は投与中定期的に妊娠検査が必要な場合に記載されます。 3)性腺、受精能、受胎能等への影響について注意が必要な場合に記載されます。 9.5 妊婦 胎盤通過性及び催奇形性のみならず、胎児曝露量、妊娠中の曝露期間、臨床使用経験、代替薬の有無等を考慮し、必要な事項が記載されます。なお、注意事項は、「投与しないこと」、「投与しないことが望ましい」又は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」を基本として記載されます。 9.6 授乳婦 乳汁移行性のみならず、薬物動態及び薬理作用から推察される哺乳中の児への影響、臨床使用経験等を考慮し、必要な事項が記載されます。母乳分泌への影響に関する事項は、哺乳中の児への影響と分けて記載されます。なお、注意事項は、「授乳を避けさせること」、「授乳しないことが望ましい」又は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」を基本として記載されます。 9.7 小児等 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児(以下「小児等」という。)に用いられる可能性のある医薬品であって、小児等に特殊な有害性を有すると考えられる場合や薬物動態から特に注意が必要と考えられる場合に、年齢区分を考慮して記載されます。 9.8 高齢者 薬物動態、副作用発現状況から用法及び用量の調節が必要である場合や特に注意が必要な場合に記載されます。 |
| 10. 相互作用 | (1)他の医薬品を併用することにより、当該医薬品又は併用薬の薬理作用の増強又は減弱、副作用の増強、新しい副作用の出現又は原疾患の増悪等が生じる場合で、臨床上注意を要する組合せが記載されます。これには物理療法、飲食物等との相互作用についても重要なものを含みます。 (2)血中濃度の変動により相互作用を生じる場合であって、その発現機序となる代謝酵素等に関する情報がある場合は、前段にその情報が記載されます。 (3)まず相互作用を生じる薬剤名・薬効群名が挙げられ、次に相互作用の内容(臨床症状・措置方法・機序・危険因子等)が記載されます。また、相互作用の種類(機序等)が異なる場合には項を分けて記載されます。 10.1 併用禁忌(併用しないこと) 1)「10.1 併用禁忌」は「2.禁忌」にも記載されます。併用禁忌の場合、相互作用を生じる医薬品が互いに禁忌になるよう整合性が図られます。 2)薬剤名として一般的名称及び代表的な販売名が併記されます。 10.2 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名として一般的名称及び代表的な販売名が併記されます。なお、薬効群名を記載する場合は、原則として、代表的な一般的名称が併記されます。 |
| 11. 副作用 | (1)医薬品の使用に伴って生じる副作用等が「11.1 重大な副作用」と「11.2 その他の副作用」に区分されて記載されます。 (2)副作用の発現頻度が、精密かつ客観的に行われた臨床試験等の結果に基づいて記載されます。 11.1 重大な副作用 1)副作用の転帰や重篤性を考慮し、特に注意を要するものが記載されます。 2)副作用の事象名を項目名とし、初期症状(臨床検査値の異常を含む)、発現機序、発生までの期間、リスク要因、防止策、特別な処置方法等が判明している場合には、必要に応じて記載されます。 3)海外のみで知られている重大な副作用についても、必要に応じて記載されます。 4)類薬で知られている重大な副作用については、同様の注意が必要と考えられる場合に限り記載されます。 11.2 その他の副作用 1)発現部位別、投与方法別、薬理学的作用機序又は発現機序別等に分類され、発現頻度を設定した表形式等で記載されます。 2)海外のみで知られているその他の副作用についても、必要に応じて記載されます。 |
| 12. 臨床検査結果に及ぼす影響 | 医薬品を使用することによって、臨床検査値が見かけ上変動し、かつ明らかに器質障害又は機能障害と結びつかない場合に記載されます。 |
| 13. 過量投与 | 過量投与時(自殺企図、誤用、小児等の偶発的曝露を含む)に出現する中毒症状が記載されます。観察すべき項目や処置方法(特異的な拮抗薬、透析の有用性を含む)がある場合には、併記されます。 |
| 14. 適用上の注意 | 投与経路、剤形、注射速度、投与部位、調製方法、患者への指導事項など、必要な注意が適切な項目をつけて記載されます。 |
| 15. その他の注意 | 15.1 臨床使用に基づく情報 評価の確立していない報告であっても、安全性の懸念や有効性の欠如など特に重要な情報がある場合は、記載されます。 15.2 非臨床試験に基づく情報 ヒトへの影響は明らかではないが、動物で認められた毒性所見であって、特に重要な情報が記載されます。 |
| 16. 薬物動態 | (1)原則として、ヒトでのデータが記載されます。ヒトでのデータが得られないものについては、これを補足するために非臨床試験の結果が記載されます。 (2)非臨床試験の結果を記載する場合には動物種を、またin vitro試験の結果を記載する場合にはその旨がそれぞれ記載されます。 16.1 血中濃度 健康人又は患者における血中薬物濃度及び主要な薬物動態パラメータが単回投与・反復投与の区別、投与量、投与経路、症例数等を明示して記載されます。 16.2 吸収 ヒトでのバイオアベイラビリティ、食事の影響等の吸収に関する情報が記載されます。 16.3 分布 組織移行、蛋白結合率等の分布に関する情報が記載されます。 16.4 代謝 代謝酵素、その寄与等の薬物代謝に関する情報が記載され、主要な消失経路が代謝による場合は、その旨が記載されます。 16.5 排泄 未変化体及び代謝物の尿中又は糞便中の排泄率等の排泄に関する情報が記載され、主要な消失経路が排泄による場合は、その旨が記載されます。 16.6 特定の背景を有する患者 特定の背景を有する患者(腎機能障害・肝機能障害・小児等・高齢者等)における血中薬物濃度、主要な薬物動態パラメータ等を区分が分かるように記載されます。 16.7 薬物相互作用 原則として、「10. 相互作用」に注意喚起のある薬物相互作用について、臨床薬物相互作用試験の結果が記載されます。必要に応じて、相互作用の機序・危険因子について、ヒト生体試料を用いたin vitro試験等のデータが補足されます。 16.8 その他 「16.1 血中濃度」から「16.7 薬物相互作用」までの項目に該当しないが、TDM(therapeutic drug monitoring)が必要とされる医薬品の有効血中濃度及び中毒濃度域、薬物動態(PK)と薬力学(PD)の関係等の薬物動態に関連する情報が記載されます。 |
| 17. 臨床成績 | 17.1 有効性及び安全性に関する試験 臨床試験の結果について、試験デザイン(投与量、投与期間、症例数を含む)、有効性及び安全性に関する主要な結果が、承認を受けた用法及び用量に従って記載されます。副次的評価項目については、特に重要な結果に限り記載されます。 17.2 製造販売後調査等 希少疾病医薬品等の承認時までの臨床試験データが極めて限定的であって、「17.1 有効性・安全性に関する試験」を補完する上で特に重要な結果に限り記載されます。 17.3 その他 「17.1 有効性・安全性に関する試験」及び「17.2 製造販売後調査等」の項目に該当しないが、精密かつ客観的に行われた、有効性評価指標以外の中枢神経系、心血管系、呼吸器系等の評価指標を用いた特に重要な臨床薬理試験(QT/QTc 評価試験等)等の結果について、投与量、症例数、対象の区別(健康人・患者、性別、成人・小児等)とともに記載されます。 |
| 18. 薬効薬理 | (1)承認を受けた効能又は効果の範囲であって、効能又は効果を裏付ける薬理作用及び作用機序の概要が「18.1 作用機序」として記載されます。 (2)「18.2」以降として、効能又は効果を裏付ける薬理作用が適切な項目をつけて記載されます。 (3)ヒトによる薬効薬理試験等の結果を記載する場合には、対象の区別(健康人・患者、性別、成人・小児等)が記載されます。 (4)非臨床試験の結果を記載する場合には、動物種が記載されます。またin vitro試験の結果を記載する場合には、その旨が記載されます。 (5)配合剤における相乗作用を表現する場合には、十分な客観性のあるデータがある場合に限り記載されます。 |
| 19. 有効成分に関する理化学的知見 | 一般的名称、化学名、分子式、化学構造式、核物理学的特性(放射性物質に限る)等が記載されます。 |
| 20. 取扱い上の注意 | (1)開封後の保存条件及び使用期限、使用前に品質を確認するための注意事項など、「貯法・有効期間」以外の管理、保存又は取扱い上の注意事項が記載されます。 (2)日本薬局方に収められている医薬品、法定の基準が定められている医薬品の場合、取扱い上の注意事項が定められているものは、その注意事項が記載されます。 |
| 21. 承認条件 | 承認条件が製造販売承認書に則り記載されます。 |
| 22. 包装 | 包装形態及び包装単位が販売名ごとに記載されます。製品を構成する機械器具、溶解液等がある場合は、その名称が記載されます。 |
| 23. 主要文献 | 各項目の記載の裏付けとなるデータの中で主要なものについて記載されます。 |
| 24. 文献請求先及び問い合わせ先 | 文献請求先及び問い合わせ先の氏名又は名称、住所及び連絡先(電話番号、ファクシミリ番号等)が記載されます。 |
| 25. 保険給付上の注意 | (1)保険給付の対象とならない医薬品や効能又は効果の一部のみが保険給付の対象となる場合に記載されます。 (2)薬価基準収載の医薬品の場合、投与期間制限の対象になる医薬品に関する情報の他、保険給付上の注意がある場合に記載されます。 |
| 26. 製造販売業者等 | 製造販売業者等の氏名又は名称及び住所が記載されます。 |
―参考資料―
2003年5月20日 医薬安発第 0520004号 「生物由来製品の添付文書の記載要領について」
2005年2月10日 薬食発第0210001号 「処方せん医薬品の指定について」
2005年3月31日 薬食監麻発第0331008号 「改正薬事法における医薬品等の表示の取扱いについて」
2021年6月11日薬生発0611第1号 「医療用医薬品の電子化された添付文書の記載要領について」
