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JANコード、GTIN、HOTコードに対応したデータベースとして、医薬品包装単位DBをご利用いただけます。

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いろいろな医薬品コード

医薬品に付与されている「コード」には、目的別に多くの種類があります。
ここでは、医薬品情報を取り扱う上で欠かすことができないこれらのコードについて説明します。

※以下の事例は記事掲載時点のものです。各種コード及び銘柄別収載品・統一名収載品の収載区分は変更されることがあります。

薬価基準収載医薬品コード

薬価ごとに設定されている英数12桁のコードです。厚生労働省により管理されており、厚労省コードとも呼ばれています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンカリウム25mg錠を例に下図で説明します。
原則的に1~4桁目が薬効分類番号、5~7桁目が投与経路および成分を示す番号、8桁目が剤形を示すアルファベット、9桁目が規格単位ごとの番号、10~11桁目が同一規格内の番号、12桁目がチェックデジット(読み取りミスなどをチェックするために他の桁の値から計算式で求められる数字)を示しています。
対象は官報で薬価基準に収載された品目に限られています。薬価基準の収載方式には銘柄別収載(商品名で薬価収載)と統一名収載(一般名称で薬価収載)の2種類がありますが、前者については個々の商品にそれぞれコードが付与され、後者については複数の商品が存在していても成分、剤形、規格および薬価が同一の一般名称に対して1つのコードが付与されます※1
※1:詳しくは銘柄別収載品と統一名収載品の関係をご参照ください。

個別医薬品コード(YJコード)

薬価基準収載医薬品コードと同様に英数12桁のコードですが、統一名収載品目の個々の商品に対して別々のコードが付与されます。YJコード、個別12桁コードとも呼ばれています。
個別医薬品コード(YJコード)と薬価基準収載医薬品コードとの関係を、ロサルタンカリウム錠25mg「アメル」とロサルタンカリウム25mg錠を例に下図で説明します。
ロサルタンカリウム錠25mg「アメル」は商品名で薬価基準に収載されている銘柄別収載品目で、薬価基準収載医薬品コードと個別医薬品コード(YJコード)は同一です。
一方、ロサルタンカリウム25mg錠は統一名収載のため、商品名では薬価基準に収載されておらず、統一名(一般名)に対して薬価基準収載医薬品コードが付与されます。この統一名に相当する個々の商品には、商品ごとに個別医薬品コード(YJコード)が付与されます。

レセプト電算処理システム用コード

医療機関が審査支払機関に電子レセプトを提出する際などに、レセプト電算処理システムで使用する9桁のコードです。薬価基準に収載されている医薬品を対象としています。レセ電算コード、レセコンコード、請求コード、支払い基金コードとも呼ばれています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンカリウム錠25mg「アメル」を例に下図で説明します。
1桁目は医薬品区分を示す「6」、2~9桁目は医薬品ごとに重複しない数字が付与されます。

JANコード(ジャンコード:Japanese Article Number

世界共通の商品識別コードで、国際的な流通標準化推進組織であるGS1(日本では流通システム開発センター)が管理しています。日本ではJANコード、ヨーロッパではEANコード(イアンコード:European Article Number)と呼ばれており、米国やカナダでは基本的な仕組みが同じUPC(Universal Product Code)が使われています。
JANコードには13桁で構成される標準型と8桁の短縮型があり、前者はGTIN-13、後者はGTIN-8とも呼ばれています(GTINについては次の項目で説明します)。ほとんどの医療用医薬品では13桁の標準型が使われています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンK錠25mg「オーハラ」を例に下図で説明します。
JANコード(標準型)の場合、1~7桁目または1~9桁目がGS1事業者コード、8~12桁目または10~12桁目が商品アイテムコード、13桁目がチェックデジットを示しています。
GS1事業者コードの先頭部分は国・地域や用途別に割り当てられており、日本では「49」または「45」から始まっています。GS1事業者コードの桁数が7桁と9桁の2種類あるのは、GS1加盟国とJANコード設定商品の増加を受けてコード体系の見直しが行われたためで、2001年以降新規に付与されるGS1事業者コードは9桁になっています。ただし、医薬品業界については、日本製薬工業協会と日本医薬品卸売業連合会が共同で設立した「医薬品業界データ交換システム」(JD-NET)を介して申請される場合、2001年以降も「4987」で始まる7桁のGS1事業者コードが付与されています。
下図は販売元が異なる同一の商品で、GS1事業者コードが7桁と9桁に分かれた例です。

GTIN(ジーティン:Global Trade Item Number)

GS1が標準化した商品識別コードの総称で、GS1コードとも呼ばれています。
下表のように4つの種類があります。

種別桁数内容
GTIN-1313桁JANコード(標準型)
GTIN-88桁JANコード(短縮型)
GTIN-1212桁UPC
GTIN-1414桁集合包装用商品コード

医薬品の取り違え防止やトレーサビリティ確保を推進するために導入された「GS1データバー」や「GS1-128」などのバーコードにおいて用いられています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンK錠25mg「オーハラ」を例に下図で説明します。
GTIN-14の場合、1桁目が包装の種別などを識別するインジケータとなり、2~8桁目または2~10桁目がGS1事業者コード、9~13桁目または11~13桁目が商品アイテムコード、14桁目がチェックデジットを示しています。

GTINのバーコードでの使用例とJANコードとの関係を、ロサルタンカリウム錠25mg「アメル」を例に下図で説明します。
日本の医療用医薬品では、GTIN-13は調剤包装単位で、GTIN-14は販売包装単位および元梱包装単位で使用されています。14桁以外のGTINは前方を0で埋めた14桁に揃えて使用されます。この先頭の0はインジケータではなくリーディングゼロといいます。
販売包装単位および元梱包装単位で使用されるGTIN-14では、GS1事業者コードと商品アイテムコードを示す2~13桁目がJANコードの1~12桁目と一致します。一方、調剤包装単位で使用されるGTIN-13では、GS1事業者コードと商品アイテムコードを示す1~12桁目はJANコードの1~12桁目とは異なる値になります。

基準番号(HOTコード)

汎用されている医療用医薬品コードとの対応付けを目的として作成された13桁のコードです。HOTコード、HOT番号とも呼ばれています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンカリウム錠25mg「アメル」を例に下図で説明します。
1~6桁目が処方用番号、7桁目がチェックデジット、8~9桁目が会社識別用番号、10~11桁目が調剤用番号、12~13行目が物流用番号を示しています。
下図のように、先頭からの7桁(HOT-7)、9桁(HOT-9)、11桁(HOT-11)、13桁(HOT-13)で意味する情報が異なり、使用目的別に使い分けることができます。

ATCコード

解剖治療化学分類法(Anatomical Therapeutic Chemical Classification System)に基づく最大7桁のコードです。医薬品使用状況の統計研究のために世界保健機関(WHO)が統括管理しており、薬効、作用部位・化学的な特徴によって5段階までのレベルで分類されています。
コードの各桁の意味を、ロサルタンカリウム25mg錠を例に下図で説明します。
1桁目が解剖学的部位に基づいたメイングループ(レベル1)、2~3桁目が治療法サブグループ(レベル2)、4桁目が薬理学サブグループ(レベル3)、5桁目が化学サブグループ(レベル4)、6~7桁目が化学物質(レベル5)を示しています。
WHOのATC分類は、欧州医薬品市場調査協会(EphMRA)の分類法をベースとして新たに作成されたものです。元になったEphMRAの分類法も同じようにATCと呼ばれるため、両者を混同しないよう注意が必要です。

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各コードの関係

これまで説明してきたコードは、以下のような関係になっています。

医薬品コードの現状と今後

ここで紹介した他にも、医薬品の承認時や市販後の調査、副作用の報告など様々な分野で体系の異なる医薬品コードが用いられていますが、それぞれの分野の中で標準化されてきたことから、異なる種類のコードとはスムーズな紐付けができず、連携が難しいという問題があります。
この問題への対策として、厚生労働省では保健医療分野における医療情報の標準化への取り組みを進めており、医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会:Health Information and Communication Standards Board)が審議・採択した「医療情報標準化指針」を基に「保健医療分野の標準規格(厚生労働省標準規格)」を制定し、2010年から医療機関への通知を順次発出して採用を促しています。
一方で海外の動きとしては、医薬品規制調和国際会議(ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)による検討の結果、国際的な標準規格であるISO-IDMPが策定され、実装に向けた取り組みが進められています。
RWD※2の本格的な活用に向け、多施設間の共通コードの整備など、医薬品コードを取り巻く環境について今後も動向が注目されます。
※2:リアルワールドデータ(Real World Data)。臨床試験などの実験的な環境ではなくレセプトや電子カルテなど現実の環境下で収集されたデータ。日本ではRWDの利活用を目的とした医療情報データベースMID-NET(Medical Information Database Network)が2018年に本格運用開始。

―参考資料―
厚生労働省保険局 「診療報酬情報提供サービス」
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/
社会保険診療報酬支払基金 「レセプト電算処理システム」
http://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/rezept/index.html
一般財団法人 流通システム開発センター一般財団法人 流通システム開発センター 「GS1事業者コード・JANコード」
http://www.dsri.jp/jan/
一般財団法人 医療情報システム開発センター(MEDIS) 「医薬品HOTコードマスター」
http://www2.medis.or.jp/master/hcode/
WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology 「ATC」
https://www.whocc.no/atc/structure_and_principles/
医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)
http://helics.umin.ac.jp/