ゼオマイン注用100単位
医療用
医療用医薬品:
医師の処方により使用する医薬品
医師の処方により使用する医薬品
医薬品コード(YJコード):1229407D2020
- 収載区分
- 銘柄別収載
- 先発・後発情報
- 先発品(後発品なし)
- オーソライズド
ジェネリック - -
- 一般名
- インコボツリヌストキシンA注射用
- 英名(商品名)
- Xeomin
- 規格
- 100単位1瓶
- 薬価
- 33,367.00
- メーカー名
- 帝人ファーマ
- 規制区分
- 毒薬
- 長期投与制限
- -
- 標榜薬効
- 末梢性筋弛緩薬
- 色
- -
- 識別コード
- -
- [@: メーカーロゴ]
- 添付文書
-
PDF 2025年10月改訂(第5版)
- 告示日
- 2025年12月4日
- 経過措置期限
- -
- 医薬品マスタに反映
- 2026年1月版
- 医薬品マスタ削除予定
- -
- 運転注意
-
注意情報あり(使用の適否を判断するものではありません)注意
- ドーピング
- 禁止物質なし(使用の適否を判断するものではありません)
- CP換算
- -
- 長期収載品選定療養
- -
[識別コードの表記 @: メーカーロゴ]
改訂情報
-
効能効果
1). 上肢痙縮。
2). 下肢痙縮。
3). 慢性流涎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。
5.2. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
5.3. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
5.4. 〈慢性流涎〉神経・筋疾患が原因となる慢性の流涎を有する患者に使用すること。
5.5. 〈慢性流涎〉臨床試験に組み入れられた患者の原疾患、重症度等の背景及び試験結果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3、17.1.4参照〕。
5.6. 〈慢性流涎〉慢性流涎の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
用法用量
〈上肢痙縮〉
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋*に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
*)緊張筋:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、腕橈骨筋、上腕二頭筋、上腕筋、方形回内筋、円回内筋、長母指屈筋、母指内転筋、短母指屈筋/母指対立筋等。
〈下肢痙縮〉
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋*に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
*)緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋等。
〈慢性流涎〉
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして合計100単位を分割して両側の耳下腺(片側につき30単位)及び顎下腺(片側につき20単位)に注射するが、患者の状態により適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。なお、患者の状態により投与間隔は14週まで短縮できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉複数の適応に本剤を同時投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守すること。
・ 〈効能共通〉上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与では、合計で800単位を上限とし、患者の状態に応じて徐々に増量する等、慎重に投与すること(海外臨床試験において、上肢痙縮及び下肢痙縮に400単位から200単位ずつ増量し、合計800単位までを同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、上肢痙縮及び下肢痙縮に本剤を同時投与した経験はない)。
・ 〈効能共通〉上肢痙縮又は下肢痙縮と、慢性流涎に対して本剤を同時投与した経験はないため、同時投与は避けること。
7.2. 〈効能共通〉本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。
7.3. 〈効能共通〉他のA型又はB型ボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のA型及びB型ボツリヌス毒素製剤の用法及び用量で規定されている投与間隔をあけ、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること(他のA型ボツリヌス毒素製剤投与後12週以内及びB型ボツリヌス毒素製剤投与後12週以内に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立していない)〔10.2参照〕。
7.4. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤と他のA型ボツリヌス毒素製剤及びB型ボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること(本剤と他のA型及びB型ボツリヌス毒素製剤を同時投与した際の、安全性及び有効性は確立していない)〔10.2参照〕。
7.5. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.6. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている〔14.2.2参照〕。
〈上肢痙縮〉
1). 〈上肢痙縮〉手関節の屈曲
①. 〈上肢痙縮〉橈側手根屈筋:(投与量*※)25-100単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
②. 〈上肢痙縮〉尺側手根屈筋:(投与量*※)20-100単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
2). 〈上肢痙縮〉手指関節の屈曲
①. 〈上肢痙縮〉浅指屈筋:(投与量*※)25-100単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
②. 〈上肢痙縮〉深指屈筋:(投与量*※)25-100単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
3). 〈上肢痙縮〉肘関節の屈曲
①. 〈上肢痙縮〉腕橈骨筋:(投与量*※)25-100単位/筋、(投与部位数)1-3部位/筋。
②. 〈上肢痙縮〉上腕二頭筋:(投与量*※)50-200単位/筋、(投与部位数)2-4部位/筋。
③. 〈上肢痙縮〉上腕筋:(投与量*※)25-100単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
4). 〈上肢痙縮〉前腕の回内
①. 〈上肢痙縮〉方形回内筋:(投与量*※)10-50単位/筋、(投与部位数)1部位/筋。
②. 〈上肢痙縮〉円回内筋:(投与量*※)25-75単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
5). 〈上肢痙縮〉母指関節の屈曲
①. 〈上肢痙縮〉長母指屈筋:(投与量*※)10-50単位/筋、(投与部位数)1部位/筋。
②. 〈上肢痙縮〉母指内転筋:(投与量*※)5-30単位/筋、(投与部位数)1部位/筋。
③. 〈上肢痙縮〉短母指屈筋又は母指対立筋:(投与量*※)5-30単位/筋、(投与部位数)1部位/筋。
*)医師の判断により合計で最大400単位を配分。
※)投与部位一カ所につき最大1.0mLが推奨されている。
〈下肢痙縮〉
1). 〈下肢痙縮〉足関節の底屈(尖足)
①. 〈下肢痙縮〉腓腹筋(内側頭/外側頭):(投与量*※)50-200単位/筋、(投与部位数)2-6部位/筋。
②. 〈下肢痙縮〉ヒラメ筋:(投与量*※)50-200単位/筋、(投与部位数)2-4部位/筋。
2). 〈下肢痙縮〉足関節の回外(内反)/底屈(尖足):後脛骨筋:(投与量*※)50-150単位/筋、(投与部位数)2-3部位/筋。
3). 〈下肢痙縮〉足趾の屈曲
①. 〈下肢痙縮〉長趾屈筋:(投与量*※)50-100単位/筋、(投与部位数)1-3部位/筋。
②. 〈下肢痙縮〉長母趾屈筋:(投与量*※)25-75単位/筋、(投与部位数)1-2部位/筋。
*)医師の判断により合計で最大400単位を配分。
※)投与部位一カ所につき最大1.0mLが推奨されている。
7.7. 〈慢性流涎〉本剤と他のA型ボツリヌス毒素製剤及びB型ボツリヌス毒素製剤の同時投与は避けること(本剤と他のA型及びB型ボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はない)〔10.2参照〕。
7.8. 〈慢性流涎〉投与に際して、解剖学的ランドマーク又は超音波検査を用いて注意深く唾液腺(耳下腺、顎下腺)を同定すること(臨床成績等から超音波検査での同定を推奨する)。
7.9. 〈慢性流涎〉投与対象唾液腺ごとの適切な投与量に留意すること。臨床成績等から、次の投与量及び投与部位数が推奨されている〔14.1.6、14.2.3参照〕。
1). 〈慢性流涎〉耳下腺
①. 〈慢性流涎〉右側:(投与量*)30単位、(投与部位数)1部位。
②. 〈慢性流涎〉左側:(投与量*)30単位、(投与部位数)1部位。
2). 〈慢性流涎〉顎下腺
①. 〈慢性流涎〉右側:(投与量*)20単位、(投与部位数)1部位。
②. 〈慢性流涎〉左側:(投与量*)20単位、(投与部位数)1部位。
*)施注用注射針は27-30G、12.5-13mm注射針が推奨されている。
7.10. 〈慢性流涎〉患者の状態に応じて次を参考に、本剤を減量することができる〔14.1.6、14.2.3参照〕。
1). 〈慢性流涎〉耳下腺
①. 〈慢性流涎〉右側:(投与量*)22.5単位、(投与部位数)1部位。
②. 〈慢性流涎〉左側:(投与量*)22.5単位、(投与部位数)1部位。
2). 〈慢性流涎〉顎下腺
①. 〈慢性流涎〉右側:(投与量*)15単位、(投与部位数)1部位。
②. 〈慢性流涎〉左側:(投与量*)15単位、(投与部位数)1部位。
*)施注用注射針は27-30G、12.5-13mm注射針が推奨されている。
警告・禁忌・相互作用・その他の注意
(警告)
1.1. 本剤は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素製剤であり、有効成分としてインコボツリヌストキシンAを含有しているので、本剤の使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、上肢痙縮、下肢痙縮、及び慢性流涎以外には使用しないこと。
1.2. A型ボツリヌス毒素を緊張筋又は唾液腺以外の部位に投与すると、一時的に周辺筋肉群筋力低下等が発現することがあるので、本剤は、講習を受け、本剤についての十分な知識と、原疾患及び本剤の施注手技に必要な十分な知識・経験のある医師のもとで投与すること。
(禁忌)
2.1. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 〈効能共通〉全身性の神経筋接合部障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある]。
2.3. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉筋萎縮性側索硬化症患者[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある]。
(重要な基本的注意)
8.1. 〈効能共通〉本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用すること。
・ 〈効能共通〉本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素(一般的名称:インコボツリヌストキシンA)である。
・ 〈効能共通〉本剤の投与は対症療法であり、その効果は上肢痙縮及び下肢痙縮では通常12-16週、慢性流涎では通常16週で消失し、投与を繰り返す必要がある。
・ 〈効能共通〉本剤投与により、投与部位以外の筋に対する影響と考えられる会話困難、嚥下障害及び誤嚥性肺炎等があらわれることがある。本剤投与開始から16週までに会話困難、嚥下障害及び呼吸困難等の体調の変化が生じた場合、直ちに医師の診察を受けること。
・ 〈効能共通〉妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること〔9.4生殖能を有する者、9.5妊婦の項参照〕。
・ 〈効能共通〉他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出ること。
8.2. 〈効能共通〉本剤投与後、無力症、筋力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.3. 〈下肢痙縮〉下肢の緊張筋への本剤投与に伴う活動性上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
8.4. 〈慢性流涎〉本剤の投与により口内乾燥があらわれることがあるため、患者又は介護者に対し慢性流涎の場合、本剤投与中は口腔内を清潔に保つように指導すること。
8.5. 〈慢性流涎〉慢性流涎患者では嚥下機能が低下していることから、本剤投与後は嚥下障害及び誤嚥性肺炎の発現に留意すること(本剤投与後にこれらの事象が発現した際には、本剤の効果が消失すると想定されるまでの期間は再投与を控えるとともに、再投与の可否は患者の状態を踏まえて慎重に検討すること)〔11.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉神経筋障害<全身性の神経筋接合部障害又は筋萎縮性側索硬化症を除く>を有する患者:治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること(本剤の薬理作用のため過度の筋力低下に至り、病状を悪化させるおそれがある)。
9.1.2. 〈慢性流涎〉神経筋障害<全身性の神経筋接合部障害を除く>を有する患者:治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用すること。
(生殖能を有する者)
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること〔8.1、9.5妊婦の項参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤は動物実験で、母動物体重低値、母動物摂餌量減少及び流産が認められている。また、類薬において、妊娠中の患者で胎児死亡が報告されている)〔8.1、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(乳汁への移行に関する情報は得られていない)。
(小児等)
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
(相互作用)
10.2. 併用注意:
1). 筋弛緩剤(ダントロレンナトリウム水和物等)[過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下・嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある)]。
2). 筋弛緩作用を有する薬剤(スペクチノマイシン塩酸塩水和物、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等)、ポリペプチド系抗生物質(ポリミキシンB硫酸塩等)、テトラサイクリン系抗生物質、リンコマイシン系抗生物質、抗痙縮剤(バクロフェン等)、抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等)、ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬(ジアゼパム、エチゾラム等)、ベンザミド系薬剤(チアプリド塩酸塩、スルピリド等))[過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下・嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある)]。
3). 唾液分泌抑制作用を有する薬剤(抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等))[慢性流涎患者においては、過剰な唾液分泌抑制があらわれるおそれがあり、口内乾燥・嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はともに唾液分泌抑制作用を有するため作用が増強されるおそれがある)]。
4). 他のボツリヌス毒素製剤〔7.3、7.4、7.7参照〕[過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下・嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある(本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある)]。
(過量投与)
13.1. 症状
A型ボツリヌス毒素の過量投与により、投与部位以外の筋に対する様々な症状を伴う強い神経筋麻痺が生じることがある。過量投与の症状は、全身筋力低下、眼瞼下垂、複視、呼吸困難、発語困難、言語障害、呼吸筋麻痺又は嚥下障害等であり、誤嚥性肺炎の原因となることもある。
13.2. 処置
過量投与時、投与直後の場合には抗毒素の投与を検討してもよいが、治療上の有益性と危険性を慎重に判断すること。なお、過量投与時、既にボツリヌス中毒症状(全身性脱力及び筋肉麻痺等)が発現した時点での抗毒素投与は、無効である。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 〈効能共通〉投与する直前に溶解すること(ただし溶解後は2℃~8℃に保存し、調製24時間以内に使用すること)。
14.1.2. 〈効能共通〉ゴム栓に注射針を垂直に穿刺し、泡立たないように溶解液をゆっくりとバイアル中に注入する。バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しないこと。
14.1.3. 〈効能共通〉溶解液注入後、バイアルを丁寧に円を描くように振り混ぜ、転倒させて内容物を溶解液と混和する(激しい撹拌を避けること)。
14.1.4. 〈効能共通〉混和後の溶液は清澄かつ無色であり微粒子を含まない液体である(混和後の溶液の外観が濁っていたり、沈降物又は浮遊物がある場合は使用しないこと)。
14.1.5. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤1バイアルは日局生理食塩液を用いて溶解する。
1). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)0.5mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度20単位/0.1mL。
2). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)1.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度10単位/0.1mL。
3). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)1.25mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度8.0単位/0.1mL。
4). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)2.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度5.0単位/0.1mL。
5). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)2.5mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度4.0単位/0.1mL。
6). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)4.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度2.5単位/0.1mL。
7). 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉溶解液の量(日局生理食塩液)5.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度2.0単位/0.1mL。
14.1.6. 〈慢性流涎〉慢性流涎の場合、本剤100単位を2.0mLの日局生理食塩液を用いて溶解し、5.0単位/0.1mL溶液を調製する〔7.9、7.10参照〕。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 〈効能共通〉皮膚に異常のある部位<感染・炎症等>には注射しないこと。
14.2.2. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉上肢痙縮・下肢痙縮の場合は適用部位の筋肉内にのみ投与すること〔7.6参照〕。
14.2.3. 〈慢性流涎〉慢性流涎の場合は唾液腺<耳下腺及び顎下腺>にのみ投与すること〔7.9、7.10参照〕。
14.3. 薬剤廃棄時の注意
残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加える、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)により失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。同様に薬液の触れた器具等は0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をかける、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)にかけて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。
14.4. 汚染時の注意
14.4.1. 本剤が飛散した場合:すべて拭き取る。
(1). 溶解前に本剤が飛散した場合には0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭いてから乾燥させる。
(2). 溶解後に本剤が飛散した場合は乾燥した吸収性素材で拭きとった後に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭いてから乾燥させる。
14.4.2. 本剤が皮膚に触れた場合:0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗い、水で洗い流す。
14.4.3. 本剤が眼に入った場合:大量の水又は眼用の洗浄液で洗い流す。
(その他の注意)
15.2. 非臨床試験に基づく情報
動物実験(サル)により、本剤投与部位以外の遠隔の筋において、筋萎縮や筋重量減少等の障害が発生したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 過敏症(頻度不明):アナフィラキシーを含む重篤かつ即時型過敏症、血清病等を起こす可能性があるので、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹、悪心等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
11.1.2. 嚥下障害:嚥下障害(2.5%)、誤嚥性肺炎(0.2%)があらわれることがある〔8.5参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(1%未満)湿疹、紅斑、蕁麻疹、皮膚過角化、(頻度不明)皮膚そう痒症、発疹。
2). 消化器:(1~5%未満)口内乾燥、(1%未満)便秘、口渇、唾液変性、味覚障害、(頻度不明)悪心。
3). 筋骨格:(1~5%未満)筋力低下、(1%未満)四肢不快感、関節痛、筋骨格痛、筋肉痛、四肢痛、筋緊張低下。
4). 精神神経系:(1%未満)麻痺、錯感覚、会話障害、頭痛、感覚鈍麻、(頻度不明)血管迷走神経反応(一過性症候性低血圧、耳鳴、失神)。
5). 注射部位:(1%未満)皮下出血、注射部位内出血、筋肉内出血、疼痛、(頻度不明)炎症、知覚異常、注射部位知覚低下、圧痛、注射部位腫脹、注射部位浮腫、紅斑、そう痒、感染、血腫、出血、挫傷。
6). 泌尿器:(1%未満)排尿後尿滴下、頻尿、尿閉。
7). その他:(1%未満)構語障害、転倒、血中CK増加、靱帯捻挫、末梢性浮腫、倦怠感、蜂巣炎、無力症、(頻度不明)軟部組織浮腫、腫脹、インフルエンザ様症状、上咽頭炎。
臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈上肢痙縮〉
17.1.1 国内第III相試験
脳卒中後の成人上肢痙縮患者を対象に、忍容性導入期、二重盲検期及び非盲検継続期から構成される国内第III相試験を実施した。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較デザインとして実施された二重盲検期において、本剤各用量注1)又は対応するプラセボを複数の緊張筋に単回筋肉内投与したとき、主要評価項目である手関節の屈曲におけるModified Ashworth Scale(MAS:筋痙縮の度合いを6段階で評価)のベースラインから投与12週後までの変化量に基づく時間曲線下面積は、次表のとおりであり、本剤400単位群、250単位群ともにプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた。
<<表省略>>
各評価時期の手関節の屈曲におけるMASのベースラインからの変化量の推移は、次表のとおりであった。
<<表省略>>
また、忍容性導入期又は二重盲検期に引き続いて実施した非盲検継続期において、本剤400単位注1)を複数の投与筋に反復筋肉内投与したときの各投与の手関節の屈曲におけるMASのベースライン(忍容性導入期又は二重盲検期における本剤投与開始時)からの変化量の推移は、次表のとおりであった。
<<表省略>>
二重盲検期における副作用の発現頻度は、本剤400単位群で6.8%(3/44例)及び250単位群で8.7%(2/23例)であり、プラセボ400単位群及び250単位群はいずれも0.0%(0/22例及び0/11例)であった。本試験の全投与期間における本剤投与時の主な副作用は、筋力低下3.7%(4/108例)、注射部位内出血1.9%(2/108例)、構語障害1.9%(2/108例)であった。
注1)手関節、手指関節、肘関節及び母指関節の屈曲、並びに前腕の回内に作用する緊張筋に本剤を合計400単位又は250単位分割投与した。
〈下肢痙縮〉
17.1.2 国内第III相試験
脳卒中後の成人下肢痙縮患者を対象に、忍容性導入期、二重盲検期及び非盲検継続期から構成される国内第III相試験を実施した。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較デザインとして実施された二重盲検期において、本剤400単位注2)又はプラセボを複数の緊張筋に単回筋肉内投与したとき、主要評価項目である足関節の底屈におけるMASのベースラインから投与12週後までの変化量に基づく時間曲線下面積は、次表のとおりであり、本剤400単位群でプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた。
<<表省略>>
各評価時期の足関節の底屈におけるMASのベースラインからの変化量の推移は、次表のとおりであった。
<<表省略>>
また、忍容性導入期又は二重盲検期に引き続いて実施した非盲検継続期において、本剤400単位注2)を複数の投与筋に反復筋肉内投与したときの各投与の足関節の底屈におけるMASのベースライン(忍容性導入期又は二重盲検期における本剤投与開始時)からの変化量の推移は、次表のとおりであった。
<<表省略>>
二重盲検期における副作用の発現頻度は、本剤400単位群で5.8%(6/104例)、プラセボ群は4.8%(5/104例)であった。本試験の全投与期間における本剤投与時の主な副作用は、筋力低下2.4%(5/212例)、四肢不快感、便秘、転倒、及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加各0.9%(2/212例)であった。
注2)腓腹筋(内側頭及び外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋に加え、治療が必要な場合は長趾屈筋、長母趾屈筋に本剤を合計400単位分割投与した。
〈慢性流涎〉
17.1.3 国内第III相試験
神経・筋疾患に関連する慢性流涎が認められる成人の慢性流涎患者を対象に国内第III相試験を実施した。本試験はグループA及びグループBで構成され、グループAはパーキンソン病、非定型パーキンソニズム、脳卒中後、又は外傷性脳損傷後の慢性流涎患者を対象とし、グループBはより広範な慢性流涎患者を対象とした注3)。非盲検、非対照デザインとし、本剤100単位を唾液腺内注4)に16±2週の投与間隔で3回投与した。
主要評価項目であるグループAにおける1回目投与4週後の安静時唾液分泌量(uSFR)注5)のベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準誤差(MMRM解析)[95%信頼区間])は-0.08±0.01[-0.10;-0.06]g/min(56例)であり、95%信頼区間の上限が事前に設定した閾値-0.04g/minを下回った。グループAにおける1回目投与16週後までのuSFRのベースラインからの変化量、並びにグループA及びグループBの被験者による1回目投与16週後までのGlobal impression of change scale(GICS:全般印象度の変化スケール)注6)は次表のとおりであった。
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また、グループAにおける2回目及び3回目投与時のuSFRのベースライン(1回目投与前)からの変化量、並びにグループA及びグループBにおけるGICSは次表のとおりであった。
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本試験の全投与期間における副作用の発現頻度注7)は21.7%(20/92例)、主な副作用は口内乾燥8.7%(8/92例)、嚥下障害8.7%(8/92例)、及び口渇3.3%(3/92例)であった。[5.5参照]
注3)本剤を投与した92例の慢性流涎の原因と推定される原疾患の内訳は、グループAは、パーキンソン病が51例、非定型パーキンソニズムが4例、脳卒中後が3例、グループBは、パーキンソン病が25例、筋ジストロフィーが3例、筋萎縮性側索硬化症が2例、先天性ミオパチーが1例、多発性硬化症が1例、非定型パーキンソニズムが1例、脳性麻痺が1例であった。いずれのグループもスクリーニング時の12週以上前から流涎症状が一定以上(Drooling Severity and Frequency Scaleの合計スコアが6以上、かつ重症度及び頻度の各スコアが2以上)の患者を対象とし、嚥下機能が一定以下の患者、誤嚥性肺炎の既往を2回以上有する患者、既往歴を1回有する者で再発のリスクが高いと治験担当医師が判断する患者、又は全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群等)は除外した。
注4)本剤100単位を3:2の割合で分割し、両側の耳下腺及び顎下腺に片側1カ所ずつ投与した。本剤投与後に中等度以上の口内乾燥が発現し、かつ投与量の減量が必要と治験担当医師が判断した場合は本剤75単位への減量が可能とし、2回目投与時に減量した場合、3回目投与時には治験担当医師の判断により本剤100単位投与に戻すことも可能とした。
注5)グループAのみuSFRを測定した。
注6)前回本剤を投与したときと比べた本剤の投与による全般的な状態の変化を7段階(-3~+3)で評価した。被験者が回答できない場合は介護者が評価した。
注7)グループA及びBを併合した集団の副作用発現頻度を示す。
17.1.4 海外第III相試験
成人のパーキンソン病、非定型パーキンソニズム、脳卒中後、又は外傷性脳損傷後の慢性流涎患者注8)を対象に、主要評価期及び継続投与期から構成される海外第III相試験を実施した。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較デザインとして実施された主要評価期では、本剤75単位、100単位、又はプラセボを単回唾液腺内投与注9)し、継続投与期では本剤75単位又は100単位を16±2週の投与間隔で3回唾液腺内投与した。主要評価項目は投与4週後のuSFRのベースラインからの変化量及び投与4週後の被験者の評価によるGICS注10)のco-primary endpointsとし、ある用量で2つの主要評価項目がいずれも検証された場合に当該用量の有効性が検証されたと解釈することとした。
uSFRのベースラインから投与4週後までの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)、及び投与4週後の被験者によるGICS(最小二乗平均値±標準誤差)は次表のとおりであり、本剤100単位群でプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた。本剤75単位投与群では、プラセボ群に対する統計学的な有意差は認められなかった。
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主要評価期のuSFRのベースラインからの変化量及びGICSの推移は次表のとおりであった。
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主要評価期における副作用の発現頻度は本剤100単位群8.1%(6/74例)、本剤75単位群9.5%(7/74例)、プラセボ群8.3%(3/36例)であった。主要評価期における本剤100単位群の主な副作用は口内乾燥2.7%(2/74例)であり、本剤75単位群の主な副作用は口内乾燥5.4%(4/74例)及び嚥下障害2.7%(2/74例)であった。また、全投与期間における本剤100単位群の主な副作用は口内乾燥11.0%(10/91例)及び嚥下障害3.3%(3/91例)であり、本剤75単位群の主な副作用は口内乾燥6.7%(6/89例)、嚥下障害3.4%(3/89例)、及び会話障害3.4%(3/89例)であった。[5.5参照]
注8)本剤を投与した184例の慢性流涎の原因と推定される原疾患の内訳は、パーキンソン病が130例、非定型パーキンソニズムが16例、脳卒中後が35例、及び外傷性脳損傷後が5例であった。スクリーニング時の12週以上前から流涎症状が一定以上(Drooling Severity and Frequency Scaleの合計スコアが6以上、かつ重症度及び頻度の各スコアが2以上)の患者を対象とし、嚥下機能が一定以下の患者、複数回の誤嚥性肺炎の既往歴がある患者、全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群等)は除外した。
注9)本剤75単位、又は100単位を3:2の割合で分割し、両側の耳下腺及び顎下腺に片側1カ所ずつ投与した。有害事象が発現した場合は継続投与期の2回目又は3回目投与時に投与量を25%減量することを1回に限り可能とした。
注10)前回本剤を投与したときと比べた本剤の投与による全般的な状態の変化を7段階(-3~+3)で評価した。被験者が回答できない場合は介護者が評価した。
薬効薬理
18.1 作用機序
インコボツリヌストキシンAは、末梢神経筋接合部における神経終末内でSynaptosomal Associated Protein 25(SNAP-25)を分解し、シナプス小胞からのアセチルコリンの放出を抑制する。
痙縮に対し、本剤は、神経筋接合部のコリン作動性神経終末からのアセチルコリン放出を阻害することにより筋弛緩作用を示すと考えられる。
慢性流涎に対し、本剤は、副交感神経のコリン作動性神経終末からのアセチルコリン放出を阻害し、唾液腺において水及び電解質の分泌を阻害することにより、唾液分泌抑制作用を示すと考えられる。
18.2 筋弛緩作用
マウスの後肢腓腹筋に本剤を単回投与したとき、用量依存的な後肢の筋麻痺が認められた。
サルの左中臀筋に本剤を単回投与し筋電図を測定したとき、中臀筋活動電位は投与1~2週後に最も抑制された後、投与36週後には投与前の値まで回復が認められた。
医師の処方により使用する医薬品。
