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特別料金の対象となる医薬品(OTC類似薬)の候補リストを公開しています。

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OTC類似薬の保険給付見直し

近年、日本の社会保障費抑制は急務の課題となっています。2024年10月から開始された長期収載品の選定療養に続き、現在はOTC類似薬(OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品)の保険給付の在り方について、議論が深まっています。
本記事では、2025年12月に社会保障審議会(医療保険部会)で示された指針に基づき、OTC類似薬の保険給付見直しに関する動向と想定される現場への影響を整理します。

見直しの背景と議論の目的

OTC類似薬の保険給付見直しの議論は、給付の公平性の確保と、現役世代の保険料負担軽減を主な目的としています。
現在、OTC医薬品の普及に伴い、自費で購入する利用者と、保険給付(1〜3割負担)を受ける受診者との間で、患者負担額の不均衡が生じています。厚生労働省の資料では、公的保険による給付の必要性が低いケースにおいて、この不公平感を解消し、負担の適正化を図ることが急務とされています。
今回の見直しは、2026年度中の実施(2027年3月施行を想定)を目指す法改正事項として検討が進んでいます。具体的には、OTC医薬品と同一成分が含まれている医療用医薬品を対象に、通常の自己負担に加えて「特別の料金(保険外負担)」を求める新たな枠組みの導入です。これにより、OTC医薬品でも対応が可能な、軽度の自覚症状についてはセルフメディケーションを促し、公的保険の役割をより必要性の高い医療へ重点化することを目指しています。

対象となる可能性がある医薬品

「特別の料金」の対象は、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品として、2025年12月時点で77成分、約1,100品目が機械的に選定されています。
対象領域は、鼻炎や解熱鎮痛、風邪症状全般などの内服薬、腰痛・肩こり、皮膚のかゆみ・乾燥に用いる外用薬など多岐に渡ります(詳細は別掲の「特別料金の対象となる医薬品(OTC類似薬)候補リスト」を参照)。一義的な線引きが困難な規格・剤形品も含まれると推測され、制度設計には詳細な説明が求められるため、2026年2月召集の特別国会においても法案が一時持ち越されるなど、議論は極めて慎重に進められています。
また、対象薬剤であればすべて一律に特別の料金が課されるわけではなく、長期収載品の選定療養と同様に、さまざまな除外規定が設けられる見通しです。こども、低所得者、入院患者といった方への配慮や、がん・難病患者、医師が医療上必要と判断したケースなどは対象外とする方向で検討されています。

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特別の料金について

特別の料金については、長期収載品の選定療養と同様に、対象薬剤の薬剤費の4分の1相当を求める仕組みを、「一部保険外療養」の名称で運用する方向で検討されています。この料金は保険外負担としての扱いが想定されるため、消費税が加算される見通しです。これにより、患者の窓口負担額は現行の保険適用時よりも増大することになります。
また、今回の見直しは一度限りの決定ではなく、施行後の状況を踏まえた継続的な議論が予定されています。政府の検討資料によれば、2027年度以降に、対象となる医薬品の範囲拡大や、特別の料金の引き上げについても検討を行う方針が示されています。

※詳しくは新制度「長期収載品の選定療養」をご参照ください。

まとめ

今回のOTC類似薬の保険給付見直しは、2026年度中の実施(2027年3月施行を想定)に向けた、法改正を伴う大規模な制度変更となる見通しです。これは単なる患者本人の自己負担増の議論に留まらず、医療現場においては、患者の症状に応じた適切な受診勧奨やセルフメディケーションの提案といった対人業務の重要性を再認識させる転換点となります。
今後、社会保障審議会や中央社会保険医療協議会において特別の料金の詳細な算定基準や除外規定の運用ルールが具体化されます。医療現場では現行の長期収載品における選定療養の運用実績を検証しつつ、OTC類似薬の新たな給付体系への移行に向けた体制整備を進めることが求められています。

―参考資料―
厚生労働省 「第209回社会保障審議会医療保険部会 資料1-3 OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67949.html