一般用医薬品(OTC医薬品)には、使用上のリスクに応じて「要指導医薬品」「一般用医薬品(第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品)」の区分が存在します。2025年の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)改正では、「要指導医薬品」において、特に慎重な取り扱いが求められる「特定要指導医薬品」が新設されました。
本記事では「特定要指導医薬品」について解説します。
「特定要指導医薬品」とは
要指導医薬品は、スイッチOTC等一般用医薬品としての使用実績が少ない医薬品等が該当します。発売後に行われる安全性に関する調査の結果、一般用医薬品に区分が変更されていくのが一般的です。
一方で、今回新設された特定要指導医薬品は、安全性に関する調査の結果に関わらず、対面指導の必要性が継続する限り、恒久的に区分変更が行われず特定要指導医薬品に指定され続けるという点が、要指導医薬品と異なります。これは、緊急避妊薬のスイッチOTC化に先立ち、設けられた仕組みです。
また、2025年の薬機法改正で規制が緩和され、要指導医薬品は対面販売が必須でなくなりましたが、特定要指導医薬品は薬剤師による対面販売が義務付けられています。
なぜ対面販売が課されるのか
特定要指導医薬品の最も大きな規制が対面販売です。原則として薬剤師が常駐する薬局内で、購入者と薬剤師が対面し、書面を用いた詳細な情報提供と指導を行わなければ販売が認められません。
この規制が義務付けられる背景には、いくつかの理由があります。具体的な医薬品の例として緊急避妊薬(レボノルゲストレル)が挙げられます。
特に緊急避妊薬の場合は服用タイミングが効果に直結するため、購入者の状況を対面で確認し、正確な服薬指導を行う必要があります。また、過剰摂取や誤った使用による健康被害、社会的な濫用を防ぐ目的があります。
薬剤師が購入者の状況(年齢、健康状態、他の薬剤の使用状況等)を聴取し、その情報に基づいて個別の指導を行うことで、医薬品の適正使用を促します。
対面販売は、薬剤師の専門知識をもって医薬品の販売可否を判断し、使用方法を確実に伝えるために不可欠な規制です。
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薬局及び薬剤師、購入者が守るべき点と課題
特定要指導医薬品については、医薬品の安全性を確保するため、通常の一般用医薬品よりも厳格な販売要件が設けられています。
販売を行う薬局及び薬剤師には、薬剤師による対面での情報提供と指導が義務付けられており、薬剤師が不在の場合は販売することができません。また、適正な販売を行うため、購入者の年齢等、法令で定められた事項について、販売記録の作成・保存が求められます。
一方、購入者もこれらの要件を前提として、薬剤師からの情報提供や指導を受けることが必要となります。あわせて、販売記録の作成に必要な範囲で、年齢等の情報提供に応じることが求められます。
このように、安全性を重視した仕組みが設けられている一方で、運用面では一定の負担が生じます。薬局側では、十分な説明を行うための時間の確保や、購入者のプライバシーに配慮した環境整備など、業務負荷が増加することが想定されます。また、購入者にとっても、対面でのやりとりに伴う心理的な抵抗感や、購入手続きに要する時間的な負担を感じる場合があります。
まとめ
特定要指導医薬品は、一般用医薬品の中でも特に高いリスク管理が必要な医薬品であり、その対面販売という規制は、医療の安全と公衆衛生を支えるための重要な制度的枠組みといえます。
医療現場ではこうした規制に正しく対応しながら、適切な情報提供をすることが求められています。
―参考資料―
厚生労働省 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(令和7年法律第37号)
厚生労働省 令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html)
