情報検索の落とし穴

平成13年に策定された「e-Japan戦略」を受け、医療分野においては、厚生労働省により「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」が取りまとめられ、医療情報システムの整備が進められました。
その一環として、医薬品情報というソフトウェアの充足が図られ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のWebサイトにおいて医薬品の添付文書など様々な情報公開がなされ、現在ではなくてはならない情報源となっています。
ここでは、このPMDAのWebサイトにおいて公開されている医療用医薬品の添付文書情報について解説します。

検索する文字列に関する注意点

PMDAのWebサイトでは、医薬品の添付文書情報を検索することができます。
ここでは、医療用医薬品の情報を検索する際に設定する【検索条件】の注意点について解説します。

検索条件の設定画面

下記の赤枠部分に、検索対象とする条件を設定します。

検索条件の設定画面
長音符号の有無

まず、効能・効果として「メニエール病」が承認されている医薬品を検索してみると、下記のとおり16件の医薬品が検索されました。

「メニエール病」の検索結果

同義語である「メニエル病」を入力し検索した結果、下記のとおり33件の医薬品が検索されました。

「メニエル病」の検索結果

以上のように、同じ病名の「メニエール病」と「メニエル病」であっても、『メニエール』と入力した場合と『メニエル』と入力した場合とでは、検索結果が異なります。
このことから、【ー(長音符号)】の有無による注意が必要であることがわかります。

文字列の部分的入力

次に、副作用に「QT延長」が報告されている医薬品について検索します。
「シベノール錠50mg」という医薬品には、下記のとおり「QTc延長」という副作用の報告があります。

「シベノール錠50mg」の添付文書

そこで、検索条件の一般名・販売名に『シベノール』、副作用に「QTc延長」の一部の文字列である『QT』と入力して検索を行ってみると、下記のとおり「該当する添付文書がない」という結果になりました。

「QT」の検索結果

しかし、検索条件に『QTc』と入力して再度検索を行ってみると、下記のとおりシベノール錠50mgが検索されました。

「QTc」の検索結果

以上のように、検索条件に『QT』と入力した場合と『QTc』と入力した場合とでは、検索結果が異なります。
このことから、部分的に一致する文字列であっても、検索条件に入力する文字列によって検索対象となるべき医薬品が漏れてしまう危険性が潜んでいることに、十分注意する必要があります。

助詞の有無

続いて、「牛乳アレルギー」の患者さんに注意が必要な医薬品について検索します。
「ソル・メドロール静注用40mg」という医薬品には、添加物として牛乳由来の乳糖を使用しているため、重要な基本的注意の項目に下記の注意が記載されています。

「ソル・メドロール静注用40mg」の重要な基本的注意の項目

そこで、検索条件の一般名・販売名に『ソル・メドロール』、重要な基本的注意に「牛の乳」の同義語である『牛乳』と入力して検索を行うと、下記のとおり「該当する添付文書がない」という結果になりました。

『ソル・メドロール』「牛乳」の検索結果

しかし、検索条件の重要な基本的注意に『牛の乳』と入力して再度検索を行ってみると、下記のとおりソル・メドロール静注用40mgが検索されました。

『ソル・メドロール』「牛の乳」の検索結果

以上のように、同じ意味の「牛の乳」と「牛乳」であっても、【の(助詞)】を入力するか否かで、検索結果が異なります。
このことから、【助詞】の有無によっても、検索対象となるべき医薬品が漏れてしまう危険性があることを認識し、検索の際には十分注意する必要があります。


ここで取り上げたPMDAのWebサイトにおける『検索条件』の設定による検索結果の相違は、“添付文書の表記のゆれ”“PMDAの内部辞書”の問題により発生しています。
従って、副作用の情報や禁忌の対象患者の情報について添付文書情報を検索する場合などにおいては、考え得るあらゆる角度による検索条件を設定して検索を行うことを強くお薦めします。
そして、どんな問題が隠れているかわからないため、可能な限り各添付文書にて情報を確認することが一番と言えます。

(2014年5月更新)

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